気管支喘息
まずは気管支喘息の「診断」について話をします。
気管支喘息の定義は「発作性に起こる気道狭窄によって、喘鳴・呼気延長・呼吸困難を繰り返す疾患」「気道狭窄は気道の平滑筋収縮、粘膜浮腫、分泌亢進が主な成因」です。分かりやすく言うと、風邪などをきっかけに気管支がむくみ、分泌物が多くなることで空気の通り道が細くなり、ゼーゼー、ヒューヒューと胸から音を出しながら激しい咳き込みをする状態です。
アレルギーが関係していて、食物アレルギー、アトピー、鼻炎などがある人は無い人よりもリスクが高いです。
もっと分かりやすい例を言うと、何の症状もない普段から気管支で「小火(ぼや)」がおきていて、風邪や花粉アレルギーなどの油が入るといっきに大火事になって、気管支が焼け野原になってしまう状況です。
一旦、大火事になってしまうと火を消すのが大変になり、焼け野原から立ち直る過程でも様々な問題が生じます。そのため、普段から水をまいておく(内服や吸入)ことが重要なのです。
診断基準は確定したものは無く、
- ゼーゼーした咳き込みがある
- アレルギー歴、家族歴がある
- 血液検査でアレルギー抗体価の上昇がある
- 呼吸機能検査で閉塞性障害がある
- 気道過敏性検査で過敏性の亢進がある
などの5項目を総合的にみて診断します。
ただし、乳児は(4)(5)の検査が難しいため、小児アレルギー学会のガイドラインでは「気道感染の有無にかかわらず、明らかな呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返した場合には、乳児喘息と診断する」としています。
つまり、1年間で3回以上ゼーゼーがあれば、喘息の可能性が高いということになります。
次に気管支喘息の「治療」について話をします。ですが、その前に「重症度分類」を行います。咳やゼーゼーが年に数回程度なら「間欠型」、1回/月~1回/週程度なら「軽症持続型」などに分類し、それぞれについて「治療ステップ」を決定します。
例えば、当院で一番人数の多い「軽症持続型」の場合、年齢にもよりますが、まずはオノン、キプレス、シングレアなどのロイコトリエン拮抗薬を3ヶ月間内服して、喘息コントロールが良好(ゼーゼーが無い、気管支拡張薬を使用していない、など)であれば治療内容を下げます(ステップダウン)。
また、逆の場合はステロイド吸入の追加など治療内容を上げます(ステップアップ)。
以上は普段日常での治療ですが、気管支喘息を持つ子が風邪をひくなどして急に呼吸状態が悪くなったときには追加の治療を行います。この場合もまずは喘息発作の重症度を判定し、その重症度に応じて気管支拡張薬の吸入や点滴治療を行います。咳が酷くて寝られない、呼吸すると胸や肋骨がペコペコへこむ、ぐったりして水分も摂れないなどの状態になれば入院も検討されます。
そして治療により気管支喘息の発作がおさまると、また普段日常の治療に戻るといった流れです。
気管支喘息は発症から早い時期に適切な治療・コントロールを行えば大人まで持ち越すことは少なく、ほとんどは小学校就学前に治療を終了できます。
必ずしも一生治療するわけではありません!
気管支喘息は診断に限らず治療についても各先生によって多少判断が分かれることがありますが、当院で詳しい話をお聞きになりたい方はいつでもお問い合わせください。